xAIに入社した
#zatsu 2026-04-30
- xAIに入社した
- フルリモート,契約社員,Rust OSSが業務という契約ができたので学生を続行する
先日からxAIという会社で契約社員のソフトウェアエンジニアをしています.この会社はよく知られているであろうもので言うと,GrokというAIを作っていたり,XというSNSの運営もしています[1].最近はSpaceXというロケットを打ち上げるなどしている会社と合体したらしいです(全部イーロンの配下なので合体とかがしやすいというのは,そう).
本件は私が趣味でやっていたRust OSS(Rustコンパイラ,Wildリンカー,Clippy etc.)等の経歴が主に評価されて打診が来ており,これらOSS活動を継続することを業務内容として良いようです.このようなOSSを仕事にできるケースがいくつかの企業でたまにあることは知っていたのですが,自分がそちら側になるとはあまり思っていませんでした.いずれにせよ趣味がほぼそのまま労働にスライドする形なので,自分の負担としてもほぼ増えない(はず)ということになります.また,フルリモートで時間の裁量も持って良いとのことなので引き続き茨城県つくば市に居住し,程々に大学に行き,散歩をする等の生活を継続できることになります.かなり望外なことで,ありがたいことです.
以下QA集です:
Q. なんで契約社員?
A. まだ学生(現在修士2年)だしその方が都合が良いと思います.フルタイムに変更することも可能ですが,少なくとも学生の間はそんなことはないと思います.
Q. 新卒で行くのか?
A. まず前提としてそのようなことは契約打ち切りでもされない限り可能なはずですが,しかしながら自分の中では新卒フルタイムでは行かない可能性は現実的に割とあるな,と思っています.
私は既に結構前にある会社に内定承諾をしている(まだ雇用契約はしていません.誠実性の証左になるかは知りませんが言っておくと,承諾以降この件以外では一切job hunting的な動きはしていませんし[2],誓って今回のファーストコンタクトは自分からではありません[3])ので折り合いを検討してから最終的に決定ということにはなりますので,いずれにせよ少し考える時間が必要です(早めに決定したいとは思います).既にこの承諾先に相談はしていて,多分相当変なエッジケースなのに対応してもらっており本当に感謝しています.
新卒でxAIに行かず,この承諾先に行くとした場合の理由を少し考えてみたんですが,結構あると思っています.
例えばまずRust OSSは趣味でもできるから(実際やっているからこその今回の打診なので),それにプラスで労働の自分に取って面白いと思える事業をやる方が総和で見ると面白いと思えると思います.そもそもこれまでも基本的に趣味でやってきたOSSが仕事になると,例えば成果を出せないと自己嫌悪に陥るのではないか等の不安[4]や,OSSを仕事にするというのは自らのキャリアにおいてつぶしが効きづらい仕事をしている期間を送っていることになりやすい[5]と思うので,そうした点でもOSSをメインの仕事にすることに対する迷いがあります.OSSを仕事にする場合の不安定さみたいな懸念もあって,別にRustに限った話ではないですが,例えばフルタイムでOSSをやっていたのに,社内の事情などで思うように動けなくなってしまった/去らなければならなくなってしまったみたいな事例は特に最近よく見かけるところです.転職それ自体は少なくともエンジニアの中ではかなりスタンダードな選択肢となっているように思いますし,そこに対する大きな忌避感があるわけではないですが,職が無くなるかどうかの瀬戸際で行う転職活動と,現在の職が保証されている状態での転職活動では抱える切迫さが異なると思います.
あと承諾先は,あまり書きすぎると社名が透けて見えてくる気がするので適当にぼかしますが,簡単に言うと自分で大きな裁量を持ちながらコンピューターの上のレイヤから下のレイヤまで幅広く手を出すことができる数少ないと思っている環境で,周りも優秀な方々ばかりだし,ここでの経験もまた得難いものだなと思っています.単純に良いとか悪いとかの話ではなく,できることが根本的に異なるので,悩ましい所です.
さらに言えば,純粋にxAIが,さらに言えば海外企業に所属することがnot for meだなと感じて辞める可能性もあります.所属し始めたばかりでこんなことを考えるのも変な話ですが,現状そんな圧は一切かかっていないものの,例えば日本を離れなければならない可能性については懸念を持っています.私はある程度は英語でのコミュニケーションができると思っている(そうでなければ今回のtech interviewとかもろくにできずに通過していないだろうから)が,それは主に技術的な文脈だったりのある程度フォーマルな場での経験の話でしかなく,例えば英語圏で普通に生活をする分においてどの程度困らないかは,単純にやったことがないので分かりません.仮に言語の障壁を感じなかったとしても異文化接触からくる不和というのはほぼ確実に存在すると予期しているし,良くも悪くもいわゆる外資は変化が激しい傾向にあるので,ただでさえ激動の社会の中で安心して生活を送りたいという気持ちも持っています.
いずれにせよ,学生の間にこのような経験ができるというのはとても幸運だと思っています.あまり殊勝なことではありませんが,私は学生の内でないと時間や要件等の面で経験するのが難しいことで,自分がやり残したと感じていることがいくつかあったため修士課程に進学した節が少なからずあります.去年やっていたGSoCなどはその例でしたし,ある程度順調にそれらを回収できてきたなと思っていた矢先でのこれなので,xAIの待遇それ自体はフルタイムでない現在の時点でもとても魅力的ではありますが,短期的な利潤に視界を曇らせるのではなく,中長期的にどのような行動を取ると自分や周りに何を還元できるのかについて考えたいと思います.
Q. 休学や退学等はしないのか?
A. する気はありません.私は自分が研究にそこまで向いていないと思っているためあまり博士過程に進む気はありませんし,残りほぼ1年の学生の期間で,自分の趣味がほぼそのまま労働になることを踏まえると,そうしたことをするメリットは薄いためです.
働きながら博士(修士も)課程の学生をするという選択肢も最近ではこれまでに比べて多くの方が取られるようになっているように思います.それ自体は自らの,そしてその専門分野,人類知の可能性を広げることにつながりやすいためとても尊い活動だと思うのですが,私はあまり可処分時間が研究に向くタイプではないので,少なくとも修士を修了してそのまま博士という選択を取ることには現状の私は後ろ向きという状態です.
その他については,一部の信頼できる人が聞いてきた場合には答えられるものについては答えるかもしれませんが少なくともこの場ではパブリックにしないでおきます.
知らなかったんですがXはxAIの傘下らしいです ↩︎
だから私に届く選考とかオファーの類は基本的にスルーしていたんですが,この件は,なんかその,話が違ってくるじゃんという気持ちになりました ↩︎
そもそも自分からコンタクトを取っていたら謎のプライベートポジションを案内される可能性は低いと思うので信憑性があると思います ↩︎
成果を出せないと嫌な気分になるのはどの仕事でも同じでは?と思われるかもしれませんが,OSSを仕事にすると,ほとんどの場合において利益に直結しないことをすることになるので,その傾向が強まりやすいと思っています ↩︎
重要なのは自分がやったことから何を学び,それをいかに抽象化して他のものごとに適用するかということなので,つぶしの効きやすさを決定する大きな部分は自分側にある,という考えもあると思います ↩︎